この記事を書いた人:シゲッチ(重村裕一)
株式会社クレアクロス 代表取締役。大阪市西区靭本町を拠点に、売買・賃貸・相続・管理まで不動産全般をワンストップで対応。お客さま目線を第一に、肩書に頼らず正直な情報をお伝えすることを大切にしています。
📋 この記事でわかること
- 認知症になると不動産の売却・贈与がなぜ「凍結」するのか、その法的な理由
- 家族信託・生前贈与・任意後見契約、3つの備えの違いと選び方
- 大阪市西区の高齢化率や大阪家庭裁判所での手続き期間の目安
- 西区で家族信託や任意後見について相談できる窓口
「実家の名義がまだ亡くなった父のままで…」というご相談以上に、実は「親がまだ健在なのに、認知症の診断が出てから不動産を動かせなくなった」というご相談が増えています。大阪市西区は大阪府内でも人口増加率が高く、比較的お若い世帯が多いエリアですが、だからこそ「まだ先の話」と後回しにされがちな問題でもあります。今回は、西区で不動産仲介を営む立場から、認知症になる前にできる備えについてお伝えします。
大阪市西区でも他人事ではない「認知症と不動産」の問題
大阪市が公表している令和2年国勢調査によると、西区の65歳以上人口の割合は15.15%と、大阪府内の市区町村の中でもっとも低い水準です。生産年齢人口の割合は72.5%と高く、人口増加率も14.5%と府内トップクラスとなっています。
つまり西区は「今はまだ高齢化率が低いエリア」ですが、裏を返せば、区外や実家のある地域に住む高齢のご両親の資産について、西区にお住まいのお子様世代が相談に来られるケースが非常に多いということでもあります。「自分は西区に家を買ったが、実家(大阪市内・府内の別の区)の親の不動産をどうするか」というご相談は、当社でも年々増えている印象です。
なぜ認知症になると不動産が動かせなくなるのか
不動産の売買契約や贈与契約は、本人に「意思能力」があることが前提です(民法3条の2)。認知症が進み判断能力が失われたと判断されると、契約自体が無効になるリスクがあるため、金融機関や司法書士は本人確認と意思確認を厳格に行います。
実際に当社が担当した大阪市内の案件でも、80代のオーナー様が認知症の診断を受けた後にご自宅マンションの売却を希望されましたが、意思確認が取れず、成年後見制度を利用するまで手続きが止まってしまった例があります。後見人選任後も、家庭裁判所の許可が必要な場面があり、当初想定していたタイミングでの売却はできませんでした。
大阪家庭裁判所での手続き期間の目安
大阪家庭裁判所の案内によると、必要書類がすべて整った標準的なケースで、調査等に大きな支障がなければ、申立てから審判まで概ね1〜2か月程度とされています。ただし、判断能力の程度について医師の「鑑定」が必要と判断された場合は、さらに期間が延びます。この間、不動産の売却や賃貸借契約の変更などは基本的に進められません。
元気なうちに検討したい3つの備え
①家族信託
家族信託は、判断能力があるうちに不動産の管理・処分権限を信頼できる家族(受託者)に託しておく契約です。認知症発症後も、受託者が信託契約の範囲内で売却や賃貸管理を進められるため、成年後見制度のように家庭裁判所の許可を都度得る必要がありません。一方で、信託契約書の作成には司法書士や弁護士への相談費用がかかり、信託財産以外の資産には効力が及ばない点には注意が必要です。
②生前贈与
生前贈与は、贈与税や登録免許税・不動産取得税のコストを踏まえたうえで、早めに所有権を移す方法です。税負担が発生するため、贈与のタイミングや評価額によっては税理士への相談も併せて検討する必要があります。
③任意後見契約
任意後見契約は、判断能力低下後の「身上監護」も含めて備えたい場合に向いています。財産管理だけでなく、生活・医療・介護に関する契約なども任意後見人に委ねられる点が特徴です。
どの制度も「元気なうちに契約を結ぶ」ことが絶対条件です。認知症の診断が出てからでは選択肢が大きく狭まってしまいます。
西区にお住まいの方が実家の不動産に備えるための実践ガイド
西区にお住まいで、実家が別のエリアにあるという方からよくいただくご相談の流れをご紹介します。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1. 現状把握 | 実家名義・登記状況・住宅ローンの有無を確認 |
| 2. ご本人の意思確認 | 売却・贈与・信託のどれを望むかご本人に確認 |
| 3. 専門家への相談 | 司法書士・公証役場・税理士など制度に応じた窓口へ |
| 4. 契約・登記手続き | 信託契約書の作成や贈与登記など、具体的な手続きへ |
当社は宅地建物取引士として、不動産の現状把握や将来的な売却・賃貸活用のご相談は承れますが、家族信託や任意後見の契約書作成そのものは司法書士・公証役場・弁護士の専門業務です。まずは不動産の現状を整理したうえで、適切な専門家におつなぎすることも可能です。
よくあるご質問
Q. 家族信託と成年後見制度の違いは?
A. 家族信託は判断能力があるうちに契約で権限移譲を行う制度で、家庭裁判所の関与なく柔軟に財産管理ができます。成年後見制度は判断能力が低下した後に家庭裁判所が後見人を選任する制度で、財産の処分には家庭裁判所の許可が必要になる場面があります。
Q. 認知症の診断が出た後でも家族信託は結べますか?
A. 診断名だけで一律に判断されるわけではありませんが、契約時点で意思能力が失われていると判断されれば信託契約は結べません。判断に迷う段階であれば早めに司法書士・公証役場にご相談されることをおすすめします。
Q. 大阪市西区で相談する場合、どこに問い合わせればいいですか?
A. 家族信託の契約書作成や任意後見契約の公正証書化は司法書士・公証役場、成年後見制度の申立ては大阪家庭裁判所が窓口です。不動産の名義や評価、売却・活用の方向性を先に整理したいという段階でしたら、当社にお気軽にご相談ください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法的判断・税務判断を行うものではありません。家族信託・任意後見・生前贈与の具体的な手続きについては、司法書士・弁護士・税理士など専門家に必ずご確認ください。
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