大阪市西区を中心に、賃貸・売買・収益物件・管理まで幅広く現場に立ってきました。売却前の「言いにくいこと」の整理も日常業務です。
- 物件状況等報告書(告知書)が「売主を守る書面」になる理由
- 契約不適合責任と、免責特約が効かなくなるケース(民法572条)
- 人の死に関する告知の目安(国土交通省ガイドライン)
- 大阪市西区で売り出す前に用意しておきたい記録と伝え方
「前に一度だけ雨漏りしたけれど、直したし、言わなくてもいいですよね?」
大阪市西区で不動産売却のご相談をお受けしていると、こうしたご質問をいただくことがあります。せっかく売り出すのに、わざわざマイナス情報を出して売れなくなるのは怖い。当然のお気持ちだと思います。
ただ、実務の感覚として申し上げると、黙って売ることは高くつく可能性があります。この記事では、大阪市西区で家やマンションを売る前に向き合っていただきたい「告知」の考え方を、告知書・免責特約・心理的瑕疵という3つの視点から整理します。
告知書は事務書類ではなく、売主さまを守る盾です
売買契約のとき、売主さまには「物件状況等報告書(告知書)」という書面をご記入いただきます。雨漏り、シロアリの被害、給排水管の不具合、過去の修繕履歴、隣地との境界や越境の問題など、売主さまだからこそ知っている情報を買主に伝えるための書面です。
これを「不動産会社が用意する事務書類」と受け取り、深く考えずに「無」に丸をつけてしまう方がいらっしゃいます。ですが実務上の意味はむしろ逆です。書いた情報については、買主がその内容を了解したうえで購入したことになります。つまり、書くことが売主さまを守る盾になるわけです。
2020年4月施行の改正民法により、従来の「瑕疵担保責任」は「契約不適合責任」に変わりました。ポイントは、隠れた欠陥かどうかではなく、契約の内容に適合しているかどうかで判断される点です。告知書に「過去に雨漏りあり、○年に修繕済み」と記載してあれば、それは契約の前提になります。逆に、書かずに黙っていれば「聞いていた内容と違う」と主張される余地が残ってしまいます。
大阪市西区は築年数の幅が広く、昭和期の戸建てやビンテージマンションから築浅のタワーマンションまで混在しています。設備の入れ替えや部分的な修繕を重ねてきた住まいほど、記憶があいまいになりがちです。だからこそ、記憶に頼るのではなく記録に当たっていただきたいのです。
「知っていて言わなかった」ときは免責特約も効きません
個人が売主の中古住宅では、契約不適合責任を引渡しから3か月などの一定期間に限定したり、免責としたりする特約を結ぶことがあります。ここで安心してしまう方が多いのですが、落とし穴があります。
民法572条により、売主が知りながら告げなかった事実については、免責特約があっても責任を免れないとされています。つまり「知っていたのに黙っていた」ケースだけは、契約書の特約が盾にならないということです。
その結果として、修補の請求、代金の減額請求、損害賠償、程度によっては契約解除まで求められる可能性が出てきます。数十万円で済んだはずの修繕を隠したために、売却後にそれを大きく上回る金額の話になる。決して大げさな例ではありません。
| 場面 | 告知書に書いた場合 | 知っていて書かなかった場合 |
|---|---|---|
| 契約上の位置づけ | 契約の前提として買主が了解 | 「契約内容と違う」と主張される余地 |
| 免責特約 | 特約の範囲で機能しやすい | 民法572条により免れない |
| 価格への影響 | 売り出し前に織り込める | 引渡し後に減額請求の可能性 |
| 買主の受け止め | 手を入れてきた家として評価も | 不具合より「隠された」ことを問題視 |
| 最終的な負担 | 修繕費の範囲で収まりやすい | 損害賠償・解除まで及ぶ可能性 |
心理的瑕疵は国のガイドラインが目安になります
もうひとつ判断に迷いやすいのが、過去に人が亡くなった事実など、いわゆる心理的瑕疵です。2021年10月に国土交通省が「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表し、実務上の目安が示されました。
自然死や、日常生活のなかでの不慮の事故死は、原則として告げなくてよいとされています。一方、自殺や他殺、または長期間発見されず特殊清掃等が行われた場合は告知が必要とされ、賃貸ではおおむね3年が一つの目安とされました。ただし売買については期間の目安が示されておらず、買主から尋ねられた場合や、買主の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は、期間にかかわらず告げるべきとされています。
迷う事情があるときは、隠すのではなく、まず担当者に正直にお話しください。どこまでを、どのような言葉で伝えるか。そこを一緒に考えるのが私たちの仕事です。なお、損害賠償の可否といった具体的な法的判断は弁護士の領域であり、譲渡所得や税額の判断は税理士の領域です。私たちがお手伝いできるのは、その手前で「何を、どう伝えれば安心して売れるか」を整理する部分になります。
大阪市西区の現場で感じていること
実務の感覚として、告知した情報が理由で破談になることは、そう多くありません。買主さまが本当に嫌がるのは、不具合そのものよりも「隠されていたこと」です。過去に雨漏りがあり、原因を特定して修繕し、その記録も残っている。ここまで説明できる物件は、むしろ手を入れてきた住まいとして評価されることさえあります。
靱本町・京町堀は、実需で長く住む前提の買主さまが多いエリアです。建物の状態や修繕履歴への関心が高く、資料がそろっている物件は安心材料として受け止められます。逆に、質問に対して「わからない」が続くと、価格以前の段階で候補から外れてしまうことがあります。
南堀江・新町は競合となる売り物件が多く、買主さまが複数を見比べる前提で動きます。同じような間取り・築年数が並ぶなかでは、情報の透明さがそのまま選ばれる理由になります。告知書の記載が具体的な物件は、内見後の検討がスムーズに進む印象です。
阿波座は価格と条件のバランスを重視する買主さまが目立ちます。多少の不具合があっても、内容と補修費用の目安が事前に示されていれば、条件を織り込んだうえで話が前に進むことが少なくありません。伏せておくより、先に出しておくほうが結果的に早いというのが実感です。
大阪市内は中古住宅の流通量が多く、買主さまは常に比較のなかにいます。その中で情報の透明さは、思っている以上に選ばれる理由になります。売り出す前に、記憶と記録を一度そろえておく。それだけで、売却全体の見通しが変わります。
よくあるご質問
株式会社クレアクロス(ブランド名:ワガママ不動産しげっち)/大阪市西区を中心に、賃貸・売買・収益物件・管理まで対応しています。対応エリアの目安は靱本町・京町堀・新町・南堀江・阿波座ほか大阪市内全域。記事内の法令・ガイドラインの内容は一般的な整理であり、個別の判断は専門家にご確認ください。