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建物状況調査はするべき? | 大阪市西区の売却【あっせん・小屋裏・民法572条】

2026.10.19(Mon)

売却・査定BLOG

建物状況調査はするべき? | 大阪市西区の売却【あっせん・小屋裏・民法572条】
執筆
この記事を書いた人:重村裕一(宅地建物取引士)
株式会社クレアクロス代表取締役。大阪市西区で賃貸・売買・収益・管理まで幅広く不動産の相談を受ける。肩書きより「自分の家族に勧められるか」を判断のものさしにしている。
この記事でわかること
  • 建物状況調査(インスペクション)が、どの部分をどこまで見る調査なのか
  • 媒介契約書の「あっせん」欄で、売主の選択肢が一度分かれること
  • 調査をしたほうがいい家と、急がなくてよい家の見分け方
  • 調査結果が告知書・重要事項説明のどこに載り、価格交渉にどう影響するか
  • 免責特約があっても責任が残る民法572条の考え方と、既存住宅売買瑕疵保険の使い方
  • 大阪市西区(靭本町・新町・南堀江・京町堀・阿波座)の中古住宅で小屋裏を見ておきたい理由
大阪市西区エリアの
賃貸・売買・収益・管理
をワンストップでサポート。売り出す前の建物調査や告知の線引きも、遠慮なくご相談ください

「うちは雨漏りなんて一度もないですよ」。築三十年を超えたご実家の売却相談で、売主さまからよくいただく言葉です。嘘をつかれているとは思いません。ただ、押入れの天井にうっすら残る輪じみのように、住んでいる方が気づかないうちに雨水の浸入が進んでいることは珍しくありません。調べずに売り出して後から争いになるのと、先に調べて正直に伝えて売るのとでは、売主さまご自身の立場がまるで変わります。この記事では、建物状況調査(インスペクション)を売り出す前に使うべきかどうかを、宅建業法の手続き、費用と日程、価格への跳ね返り、そして免責特約が効かない場面という四つの角度から、大阪市西区の現場目線で整理します。告知書の書き方そのものは別記事にまとめていますので、ここでは「書く前に、何を調べておくか」に絞ってお話しします。

大阪市西区で中古一戸建ての売却前に建物状況調査を検討する売主と宅地建物取引士

建物状況調査は、何をどこまで見る調査なのか

建物状況調査(インスペクション)は、宅地建物取引業法に位置づけられた既存住宅の調査で、見る範囲が法令で決まっています。対象になるのは、基礎・柱・梁・耐力壁といった構造耐力上主要な部分と、屋根・外壁・開口部まわりといった雨水の浸入を防止する部分です。言い換えると、家の寿命と水に直結する二点に的を絞った調査だということです。

調査にあたるのは、国土交通大臣の登録を受けた講習を修了した既存住宅状況調査技術者で、建築士の資格を持つ方です。設備の使い勝手や内装の好み、リフォームの見積りを出すための調査とは目的が違い、売買の判断材料として建物の状態を共通の基準で記録することが狙いになります。

大切なのは、この調査が目視と計測を中心にした非破壊の調査である点です。壁や床を壊して内部を確認するわけではないので、欠陥が一切ないことを保証する性質のものではありません。実務では、床下点検口と小屋裏点検口から入れる範囲をどこまで見てもらえるかで、分かることの差が大きく出ます。私が立ち会うときは、点検口の位置と、押入れや物入れの荷物を事前にどけておくことを、売主さまにいつもお願いしています。この一手間で、小屋裏に頭を入れて屋根裏の雨染みまで確認できるかどうかが変わるためです。

費用は建物の規模や調査範囲で幅がありますが、木造一戸建てであればおおむね数万円から十万円前後が目安になることが多く、所要時間は三時間前後、報告書の受領までを含めると一週間から二週間程度を見ておくと日程が組みやすくなります。売り出しの直前ではなく、査定のあと、媒介契約を結ぶ前後に相談いただくのがいちばん滑らかです。

媒介契約書の「あっせん」欄で、話は一度分かれる

既存の建物の売却を不動産会社に依頼すると、媒介契約書に「建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項」を記載することになっています(宅地建物取引業法34条の2第1項第4号)。つまり売主さまは、媒介契約を結ぶその場で、調査を実施する技術者を紹介してもらうかどうかを一度は尋ねられる立場にあります。

ここで「あっせん無」に印が付いて話が終わることは、実務では珍しくありません。急いで売りたい、費用をかけたくない、調べると売りにくくなるのではないか。どのお気持ちも理解できます。ただ、この欄は本来「調査という選択肢があることを売主に伝えたか」を記録するための仕組みです。担当者が理由まで添えて説明してくれるかどうかは、その後の売却の進め方を見立てる材料になります。

反対に、調査を実施した場合は、買主さまへの重要事項説明で「建物状況調査を実施しているかどうか、実施している場合はその結果の概要」を説明することになります(宅地建物取引業法35条1項6号の2)。一年以内に実施したものが対象です。ここが実務上の分岐点で、報告書は社内で止めておけるものではなく、買主さまに渡る前提の書類になります。だからこそ、調査を受けるかどうかは「結果が出たら開示する覚悟があるか」とセットで考える必要があります。

売主さまから「調べなければ知らずに済んだのに」と言われたことがあります。正直なお気持ちだと思います。それでも私は、知ったうえで選べることのほうが売主さまを守ると考えています。知らないまま引き渡すと、選ぶ機会そのものが買主さまの手に移ってしまうからです。

売り出す前に調べておきたい家を、この順番で見分ける

1
室内に、水が通った跡が残っていないか

天井や壁の輪じみ、押入れの奥のかび、二階の窓まわりのクロスの浮き、建具の動きの悪さ。いずれも雨水か結露が関係していることがあります。住んでいる方は見慣れてしまって気づきにくいので、ご家族以外の目で一度見てもらうことに意味があります。輪じみが一か所でもあれば、私は調査を前提に段取りを組みます。

2
屋根と外壁の手入れの履歴が残っているか

前回の屋根の葺き替えや外壁塗装がいつだったか、工事の請求書や保証書が残っているかを確認します。履歴がそろっている家は、調査でも状態の説明がつきやすく、買主さまの不安が小さくなります。逆に「たぶん二十年くらい前に何かやった」という記憶だけの場合は、現況を記録に残しておく価値が上がります。

3
売主さまご自身が、建物の状態を把握できているか

長く住まわれているご本人が売主の場合と、相続で取得して一度も住んでいない場合では、話がまったく違います。空き家のまま数年たっているご実家は、誰も状態を知らないまま売り出すことになりがちです。この場合は、告知書に書けることが少ないぶん、調査で客観的な記録をつくっておくほうが安全側に寄ります。

4
買主が住宅ローンや瑕疵保険を使う前提かどうか

築年数の経った木造住宅は、買主さまが既存住宅売買瑕疵保険の付保を希望されることがあります。この保険は検査と保険が一体になっていて、現況検査に適合することが加入の条件になります。検査で指摘が出れば、補修してから加入するか、保険なしで進めるかの判断が必要です。買主さまが決まってから慌てないよう、売り出す前に見通しを立てておくと交渉が落ち着きます。

調べた場合と調べなかった場合で、何が変わるのか

調査は、費用と時間を先に払って、後の不確実さを減らす選択です。どちらが有利かは家の状態と売主さまの事情で変わりますので、変わる項目を並べて見比べてみます。

確認項目 売り出す前に調査した場合 調査せずに売り出した場合
先に出る負担 調査費用と二週間前後の日数 当面は発生しない
重要事項説明の記載 実施済みとして結果の概要を説明 未実施として説明
価格の決まり方 状態を織り込んだ価格で合意しやすい 内覧後の指値や再交渉が起きやすい
引渡し後の争い 開示済みの事項は争点になりにくい 契約不適合の主張を受ける可能性が残る
瑕疵保険の付保 加入の可否を事前に見通せる 買主の希望で後から段取りが生じる
売主の心理的負担 開示する内容が整理され読みやすい 引渡し後も連絡を待つ時間が続く

ここで押さえておきたいのが、民法の考え方です。引き渡した建物が契約の内容に適合しない場合、買主は売主に対して修補や代金の減額、損害賠償、契約の解除を求められる可能性があります(契約不適合責任・民法562条から564条)。個人の売主さまの売買では、特約で責任の範囲を限定したり期間を短く定めたりするのが一般的な取扱いです。

ただし、売主が知りながら告げなかった事実については、免責の特約があっても責任を免れることはできないと定められています(民法572条)。つまり「特約を付けたから大丈夫」は、気づいていた不具合には通用しません。輪じみに気づいていながら告知書に「なし」と書いていたら、後から争いになったときに説明がつかなくなります。調査は、この一点で売主さまを守る働きをします。

小屋裏の雨水浸入跡を既存住宅状況調査技術者が確認する建物状況調査の様子

大阪市西区の中古住宅で、小屋裏まで見ておきたい理由

西区は街ごとに建物の成り立ちが違うので、調査で効いてくる場所も変わります。南堀江・新町のあたりは、間口が狭く奥行きのある敷地に三階建てを建てた住宅が多く、隣家との距離がほとんどありません。外壁の裏側に足場を立てて点検する機会が少ないまま年数が過ぎている家があり、屋根の谷や壁との取り合い部分から雨水が入っていても、室内に出てくるまで気づきにくい構造になりがちです。小屋裏点検口から見てもらえるかどうかが、ここでは大きく効きます。

靭本町・京町堀は、戸建てと低層マンションが混在するエリアで、長く手を入れながら住み継がれてきた住宅が目立ちます。増築や屋根の改修を重ねている家は、継ぎ目の部分に弱点が集まりやすい反面、工事の履歴が残っていることが多いのが特徴です。調査の前に古い図面や工事書類を探していただくと、技術者が見る順番が決まり、報告書の精度が上がります。

阿波座から本町寄りの一帯は、事務所併用や一階が店舗だった建物が混ざります。用途が変わっている建物は、水を使う位置や配管の経路が当初と違っていることがあり、構造部分の湿りが設備側から来ている場合もあります。この場合は建物状況調査だけで原因を言い切れないこともあるため、必要に応じて設備の専門業者の確認を重ねる段取りを先に考えておきます。

買われる側の方にも一言申し上げたいことがあります。売主さまが調査を実施して結果を開示している物件は、売りにくい家ではなく、状態が見えている家です。報告書に指摘が並んでいることを減点材料として見るのではなく、どこに費用がかかりそうかを読み取る材料として扱っていただくほうが、よい買い物につながります。実際に、雨水の浸入跡を開示し屋根を部分補修してから売り出した物件で、買主さまから「ここまで開示してもらえるなら安心できる」と言っていただけたことがありました。価格はご希望から少し調整しましたが、引渡し後に連絡が来ることはなく、双方が落ち着いて終えられた取引でした。

よくある質問(FAQ)

Q. 調査で不具合が見つかったら、売る前に直さないといけませんか?

A. 補修が義務になるわけではありません。実務では、補修してから売り出す、現況のまま開示して価格に織り込む、買主さまが補修する前提で引き渡すという三つの道があります。屋根や外壁からの雨水の浸入のように放置すると広がる部分は先に手を入れたほうが結果的に安く収まることが多く、一方で内装の経年変化は買主さまの好みに任せたほうが合理的な場合もあります。見積りを取ってから判断すれば十分間に合います。

Q. 調査をすると、売出価格は下がってしまいますか?

A. 状態が悪い家なら、調査の有無にかかわらずいずれ価格に反映されます。違うのは反映されるタイミングです。先に調べて織り込んだ価格は、内覧後の指値や契約直前の再交渉を受けにくくなる傾向があります。反対に、調べずに高めで売り出して内覧で指摘を受けると、値下げの幅が交渉の勢いで決まってしまうことがあります。手取りで比べたとき、どちらが有利かは個別に試算してお見せしています。

Q. マンションでも建物状況調査はできますか?

A. 区分所有のマンションも対象になります。ただし調査できるのは専有部分と、共用部分のうち立ち入れる範囲に限られます。マンションの場合は、調査よりも管理組合の長期修繕計画や修繕積立金の残高、総会議事録といった管理情報のほうが判断材料として大きく効くことが多いので、どちらに費用と時間をかけるかをご相談のうえで決めています。

大阪市西区の不動産売却について建物状況調査の相談を受ける無料相談の窓口
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