大阪市西区を拠点に、賃貸・売買・収益・管理までを一貫して取り扱っています。中古マンションの売買では、売主様側の元付として、また買主様側の窓口としての双方を担当してきました。物件の良し悪しだけでなく、費用と書面の段取りを先にお伝えすることを大切にしています。
この記事でわかること
- 広告の「取引態様」で仲介手数料の有無が変わる仕組みと、上限額の計算のしかた
- 諸費用の総額を、契約前に内訳で出してもらうための具体的な聞き方
- 重要事項説明書を事前にもらえるかどうかで、会社の姿勢を見分ける方法
- 問い合わせ・内見の前に窓口を決めておくべき理由と、乗り換えが揉める事情
同じ物件が複数の会社から出るのは、仕組みどおりのこと
まず前提として、同じ物件が複数の会社から掲載されているのは、抜け駆けや情報漏れではなく、流通の仕組みどおりに起きていることです。理由は大きく二つあります。ひとつは、売主様が複数の会社に売却を依頼している場合(一般媒介)で、依頼を受けた各社がそれぞれ広告を出します。もうひとつは、売主様から依頼を受けた会社(元付業者)がレインズ(不動産流通機構のネットワーク)に登録し、その情報を見たほかの会社が買主様を探す側として広告を出す場合です。
宅地建物取引業法34条の2では、専任媒介契約なら契約から7日以内、専属専任媒介契約なら5日以内にレインズへ登録することが義務づけられています。つまり専任で預かった物件は、原則として業界内に公開される前提になっているということです。ですから買主様は、最初に目に入った会社でなければ買えないわけではありません。ご自身が信頼できると思える会社を窓口に選べます。
ただし、ひとつだけ筋を通していただきたいことがあります。すでにある会社に内見の案内や条件交渉をしてもらっている状態で、途中から別の会社に乗り換えると、トラブルの原因になります。仲介の報酬は、実際に契約を成立させた会社に支払われるものですから、案内や交渉を担った会社にとっては、かけた手間がそのまま残ります。ですので窓口を決めるのは、できれば問い合わせと内見の前。順番を守るだけで、気持ちのよい取引になります。
広告の「取引態様」で、支払う費用が変わる
不動産の広告には、「売主」「代理」「媒介(仲介)」のいずれかの取引態様を表示することが、宅地建物取引業法34条で義務づけられています。広告を出すときだけでなく、注文を受けたときにも明示しなければならない事項です。小さな文字で隅に書かれていることが多いのですが、ここが仲介手数料を払うか払わないかの分かれ目になります。
売主と表示されていれば、その会社自身が売主ですので、仲介手数料はかかりません。媒介(仲介)であれば仲介手数料がかかります。代理は売主側の代理として取引する形で、買主様の費用負担は取り決めによりますので、事前の確認が必要です。
仲介手数料の額は、宅地建物取引業法46条にもとづく国土交通大臣の告示で上限が定められています。売買価格400万円を超える物件では、価格×3パーセント+6万円に消費税を加えた額が上限です。3000万円の物件なら、3000万円×3パーセント+6万円=96万円、消費税を加えて105万6000円が上限になります。あくまで上限の定めですので、これより低い額で合意することも制度上はできます。
なお、売買価格800万円以下の宅地建物については、いわゆる低廉な空家等の特例があり、通常の上限を超えて税込33万円まで受け取れる場合があります。この特例を使うには、媒介契約の締結に先立って、その旨の説明と合意が必要とされています。金額の大小より、事前に説明があったかどうかが大切な部分です。
そこで、最初の問い合わせの段階で、次の三つを聞いてみてください。答え方そのものが、その会社の姿勢を教えてくれます。
「売主」なのか「媒介」なのかで、仲介手数料の有無が変わります。広告に表示されている内容ですから、即答できるのが当然の質問です。媒介であれば、あわせて元付の会社から依頼を受けている立場なのか、買主様側だけの窓口なのかも確認しておくと、交渉のときに誰が誰と話すのかが見えます。
仲介手数料のほかに、印紙税、登記費用と司法書士報酬、固定資産税と管理費の日割り精算、火災保険料、住宅ローンの事務手数料や保証料がかかります。総額だけでなく内訳で出してもらうと、比較ができます。口頭ではなく書面かデータでいただくのが確実です。
法律上、事前交付までは義務づけられていません。だからこそ、応じてくれるかどうかに姿勢が出ます。快く応じる会社は、お客様が理解して契約することを前提に段取りを組んでいます。難色を示された場合は、その理由を聞いてみてください。
重要事項説明書を「事前に」もらえるか。ここに姿勢が出る
契約前には、宅地建物取引士が宅地建物取引士証を提示したうえで、重要事項説明書を交付して説明することが宅地建物取引業法35条で定められています。書面は、相手方の承諾があれば電磁的方法で交付することもでき、オンラインでの説明(IT重説)も認められています。
問題は、この説明が契約当日にまとめて行われることが多いという実務の慣行です。数十ページある書面を、その場で初めて読んで、すべて理解するのは簡単ではありません。中古マンションであれば、管理費と修繕積立金の額、滞納の有無、長期修繕計画で予定されている値上げ、ペットや楽器使用の制限、駐車場の使用条件、耐震診断の有無など、生活とお金に直結する項目が並びます。
ですから、案の段階で数日前にいただけますかと聞いてみてください。事前に読んでおけば、分からない箇所に印をつけて、当日に質問できます。私どもも、できるだけ早い段階で案をお渡しし、気になる点を洗い出してから契約日を迎えるようにしています。加えて、管理に関する重要事項調査報告書という書面を管理会社から取り寄せれば、滞納額や修繕積立金の残高、総会での決議事項まで確認できます。数千円から1万円台の実費で取得できる書類です。
なお、重要事項説明で扱われるのは法定の項目が中心です。駐車場の空き区画の待機状況や、近隣の日常的な事情のように、法定項目には明記がなくても購入の判断に影響する事柄もあります。宅地建物取引業法47条では、重要な事項について故意に事実を告げないことが禁じられていますので、気になることは「それはどの資料で確認された内容ですか」と聞いてみてください。資料名で答えが返ってくるかどうかが、ひとつの目安になります。
大阪市西区で窓口を決めるときの、現実的な進め方
西区は、街ごとに物件の性格が違います。靭本町・京町堀は落ち着いた住環境で人気が高く、条件のよい住戸には複数の買主様が重なります。申込の順番が結果を左右しやすいエリアですので、窓口を決めてから動くことの意味がとくに大きくなります。手付金の額や決済までの期間といった条件面も、あらかじめ整理しておきたいところです。
南堀江・新町は小規模なマンションが多く、管理組合の運用が建物ごとに異なります。管理規約と使用細則、直近の総会議事録まで取り寄せられるかどうかで、判断材料の量が変わります。阿波座は地下鉄三路線が使える利便性から、住み替えと投資の双方から検討されるエリアです。買主様の目的によって確認すべき項目が変わりますので、窓口となる会社が賃貸の実情まで把握しているかどうかが効いてきます。
会社を絞る手順としては、まず免許番号と行政処分の履歴を確認し、次に問い合わせへの回答の速さと具体性を見て、最後に重要事項説明書の事前交付に応じるかどうかで判断する、という順番が現実的です。免許の確認方法は、別の記事で詳しくまとめています。
あわせて、専門家の役割の線引きも押さえておいてください。登記の手続きは司法書士、譲渡所得や住宅ローン控除といった税額の判断は税理士、契約の有効性をめぐる紛争は弁護士がそれぞれの専門です。不動産会社は、その手前で必要な書面と段取りを整える役割を担います。どこまでが窓口の仕事で、どこから先が専門家の領域なのかを最初に共有しておくと、話が早く進みます。
よくあるご質問
Q. 同じ物件を二つの会社に問い合わせてしまいました。問題になりますか。
問い合わせだけの段階であれば、正直にお話しいただければ大きな問題にはなりません。困るのは、内見や条件交渉まで進んだ後に別の会社で申し込む場合です。どちらを窓口にするかを早めに決めて、もう一方にはその旨を伝えておくのが、いちばん穏やかな進め方です。
Q. 仲介手数料が安い会社を選べば、それだけ得になりますか。
手数料は上限が定められているだけですので、低い額を提示する会社もあります。ただ、諸費用の総額で比べると差が縮まることがありますし、確認や交渉にどこまで手をかけるかで結果が変わる場面もあります。手数料の額と、諸費用の内訳、書面をどこまで事前に出してもらえるか。この三つを並べて比べていただくのが現実的です。
Q. 売主が不動産会社の物件は、仲介手数料がかからないので有利ですか。
仲介手数料がかからない点は確かに有利です。一方で、買取再販の物件は仕入れとリフォームの費用が価格に含まれています。手数料の有無だけでなく、価格そのものと、リフォームの内容や保証の範囲まで見て判断していただくのが安全です。宅地建物取引業者が売主の場合、契約不適合責任の期間は引渡しから2年以上とする定めが適用されます。
靭本町・京町堀・南堀江・新町・阿波座を中心に、中古マンション・戸建ての購入と売却をお手伝いしています。物件探しの段階から、重要事項説明書の読み合わせ、引渡し後の管理組合とのやりとりまで続けてご相談いただけます。