大阪市西区を拠点に、賃貸・売買・収益・管理までを一貫して取り扱っています。売買では売主様側の元付として、契約から決済・引渡しまでの段取りを数多く担当してきました。契約が終わった後にこそ売主様の宿題が増えることを、できるだけ早い段階でお伝えするようにしています。
この記事でわかること
- 住宅ローンが残っている家で、抵当権抹消と一括返済をいつまでに申し込むか
- 権利証(登記識別情報)と登記簿上の住所を、契約直後に確認しておく理由
- 固定資産税の精算が法律ではなく契約で決まる仕組みと、大阪で多い起算日
- 付帯設備表どおりに引き渡すという約束と、引越し日から逆算する段取り
契約と引渡しは別の日。その間に何が動いているか
不動産の売買では、売買契約の日と、代金の残金を受け取って鍵を渡す決済・引渡しの日が分かれています。中古マンションや戸建てであれば、その間隔はおおむね一か月から二か月です。買主様が住宅ローンを使う場合は、契約書を金融機関に提出してから本審査、金銭消費貸借契約と進みますので、この期間が必要になります。
この間、買主様の側では融資の手続きが進みます。一方で売主様の側にも、同じ日に向けて用意しておかないと決済が成立しない準備があります。代表的なものが、住宅ローンの一括返済と抵当権抹消の段取り、登記に必要な書類の確認、固定資産税など精算金の取り決めの確認、そして付帯設備表どおりの引渡しと引越しです。
決済当日は、金融機関の応接室などに売主様、買主様、双方の不動産会社、司法書士、場合によっては金融機関の担当者が集まります。そこで登記に必要な書類がそろっていることを司法書士が確認し、問題がなければ買主様の融資が実行されます。書類がひとつ足りないだけで、その日の決済ができなくなることがありますので、逆算して動くことが何より大切です。
住宅ローンが残っているなら、抵当権を消す段取りから
住宅ローンが残っている家には、金融機関の抵当権が登記されています。抵当権が付いたままでは買主様は安心して代金を払えませんので、実務では決済日に、買主様からの代金でローンを一括返済し、同じ日に抵当権抹消登記を申請するという流れをとります。売主様の返済、抵当権の抹消、買主様への所有権移転が、同じ日に一続きで行われるわけです。
ここで大切なのは、金融機関への一括返済の申込みには一定の期間が必要だということです。目安として決済の一か月ほど前までに連絡を求められることが多く、手続きの流れや繰上返済手数料は金融機関によって異なります。ネット系の金融機関では書面のやりとりに日数がかかることもありますので、契約が済んだら、まず借入先に決済予定日を伝えるところから始めてください。
あわせて、契約直後のうちに確認しておきたいことが三つあります。どれも決済直前に気づくと慌てることになる項目です。
決済予定日を伝えて、返済に必要な書類と、当日の返済額(元金と経過利息、繰上返済手数料の合計)を出してもらいます。日付が一日ずれるだけで金額が変わりますので、決済日が確定した時点でもう一度取り直すのが確実です。複数の借入がある場合は、すべての抵当権について同じ確認が必要になります。
紛失していても売却はできますが、司法書士による本人確認情報の作成など、別の手続きと費用が必要になります。金額も日数も通常より増えますので、見つからないと分かった時点で早めに担当者へお伝えください。平成十七年前後を境に、書面の権利証から登記識別情報通知に切り替わっています。封がされたままの書類が該当することもありますので、開封せずにご確認ください。
住み替えや結婚などで住所や氏名が変わっている場合は、所有権移転の前に住所変更登記(登記名義人表示変更登記)が必要です。買ったときから一度も動いていないつもりでも、市町村合併や住居表示の実施で表記が変わっていることがあります。登記事項証明書を一通取って、現在の住民票と見比べておくと確実です。
固定資産税の精算は、法律ではなく契約で決まる
固定資産税と都市計画税は、その年の一月一日時点の所有者に課税されます。年の途中で売っても、その年度の納税通知書は売主様宛てに届きます。買主様に直接請求が行くわけではないという点が、まず押さえておきたいところです。
そこで売買では、引渡し日を境に日割りで精算し、買主様の負担分を決済時に受け取るのが一般的です。ただしこれは法律で決まっているルールではなく、売買契約での取り決めです。精算の起算日も、関東では一月一日、関西では四月一日とする慣行が多く、大阪の取引では四月一日起算がよく使われます。同じ引渡し日でも、起算日が違えば金額が変わりますので、契約書にどちらで書かれているかを一度ご確認ください。
もう一点、意外と知られていないのが、この精算金は税務上、売却代金の一部(譲渡収入)として扱われることです。翌年の確定申告で譲渡所得を計算する際に含める必要がありますので、精算書は捨てずに保管しておいてください。あわせて、購入したときの売買契約書、仲介手数料や登記費用の領収証も探しておくと、取得費として計上できる範囲が広がります。契約書が見つからない場合、取得費を売却価格の五パーセントとして計算する概算取得費の扱いになることがあり、税額に大きく響きます。
マンションであれば、管理費と修繕積立金も同じように日割りで精算します。管理会社への区分所有者変更の届出、駐車場や駐輪場の契約解約、インターネットや宅配ボックスの登録変更も、決済日に合わせて手続きが必要です。管理会社によっては解約の申出に一か月前の予告を求める例もありますので、契約後すぐに管理会社へ売却予定を伝えておくと、当日の段取りが楽になります。
何を置いていくかは、付帯設備表どおりに
引渡しで意外ともめやすいのが、エアコン・照明・給湯器・カーテンレール・食器洗い乾燥機といった設備と、家財などの残置物です。売買契約の際には、通常付帯設備表という書面で、どの設備を残すか、故障や不具合があるかを売主様に記入していただいています。引渡しでは、この表のとおりに残すことが約束になります。
このエアコンは古いから外していこう、まだ使える家具は置いていけば喜ばれるだろう。そうした善意の判断が、かえってトラブルの元になります。買主様は、表に残ると書かれていた設備がある前提で入居後の予算を組んでいますし、逆に不要な家具を残されれば、処分費用と手間を負うことになります。表と違う扱いをしたい場合は、必ず事前に担当者を通して買主様の了承を取ってください。口頭ではなく、覚書やメールなど記録の残る形にしておくと安心です。
付帯設備表には、故障や不具合の有無も書きます。ここで実際と違うことを書いてしまうと、引渡し後に契約不適合責任を問われる可能性があります。動くけれど調子が悪い、しばらく使っていないので分からない。そうした状態は、そのまま正直に書いていただくのがいちばん安全です。告知の考え方は別の記事で詳しくまとめています。
引越しの日程も逆算が必要です。住み替えで次の住まいへの入居日がまだ決まっていない場合は、引越し日から逆算して引渡し日を設定するか、必要であれば契約の段階で引渡し猶予(決済後の一定期間、売主様が引き続き居住できる取り決め)を入れておくという方法があります。三月や九月は引越し業者の繁忙期で希望日が取りにくく、大型の家具や粗大ごみの回収も予約が先になります。契約が済んだその週のうちに、引越しの見積りだけでも取っておかれることをおすすめします。
大阪市西区で決済を迎えるときに、現場で気をつけていること
西区は街ごとに事情が違いますので、決済までの段取りも少しずつ変わります。靭本町・京町堀は住み替えの売却が多く、次の住まいの購入と同じ日に決済を組む同日決済になることがあります。売却代金を購入代金に充てる場合、二つの決済の順番と時間配分を金融機関と司法書士まで含めて調整する必要がありますので、日程は早めに固めておきたいところです。
南堀江・新町は小規模なマンションが多く、管理会社の対応窓口が限られている建物もあります。区分所有者変更の届出や駐車場の解約に日数がかかることがありますので、管理会社への連絡は契約後すぐが安心です。阿波座は地下鉄三路線が使える利便性から投資用としての購入も入り、賃貸中のまま引き渡すオーナーチェンジの形になることがあります。この場合は賃貸借契約書と敷金の承継、賃料の日割り精算、入居者様への貸主変更の通知まで加わりますので、確認する書類が一段増えます。
最後に、専門家の役割の線引きも押さえておいてください。登記の手続きは司法書士、譲渡所得の申告や税額の判断は税理士、契約をめぐる紛争は弁護士がそれぞれの専門です。不動産会社は、その手前で必要な書面と日程を整え、どの書類をいつまでに誰が用意するのかを一覧にしてお渡しする役割を担います。決済当日に必要なものは、実印、印鑑証明書、本人確認書類、権利証(登記識別情報)、鍵一式、そして振込先の通帳です。何をいつまでに用意すればよいか分からないという段階で、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
Q. 権利証を紛失してしまいました。売却はできないのでしょうか。
売却はできます。権利証は再発行ができない書類ですが、司法書士が本人確認情報を作成する方法などで手続きを進めるのが一般的です。ただし通常より費用と日数がかかりますので、見つからないと分かった時点で早めにお伝えください。決済の直前に判明すると、日程の組み直しが必要になることがあります。
Q. 固定資産税の精算金は、もらった分だけ得をしたことになりますか。
いいえ。その年度の納税義務を負っているのは売主様ですので、精算金は買主様が使う期間分を負担していただくものです。また、この精算金は税務上、売却代金の一部として扱われます。翌年の確定申告で譲渡所得に含める必要がありますので、精算書は保管しておいてください。具体的な税額の判断は税理士にご確認いただく領域です。
Q. 引渡し日までに引越しが終わらないかもしれません。どうすればよいですか。
分かった時点ですぐに担当者へご相談ください。引渡し日そのものを動かせる場合もありますし、契約の段階であれば引渡し猶予の取り決めを入れられることもあります。いちばん避けたいのは、当日になって荷物が残っている状態です。買主様にも引越しやリフォームの予定があり、連鎖して影響が出ますので、早めの相談が結果として穏やかに収まります。
靭本町・京町堀・南堀江・新町・阿波座を中心に、中古マンション・戸建ての売却と購入をお手伝いしています。査定の段階から、契約後の決済段取り、引渡し後の管理組合や税務の窓口のご案内まで続けてご相談いただけます。