大阪市西区を拠点に、賃貸・売買・収益・管理まで幅広く手がける不動産のプロ。肩書きに頼らず、お客さま目線での「損をしない判断材料」をお伝えすることを大切にしています。
この記事でわかること
- 相続時精算課税を選ぶと、なぜ一生その親からの贈与に戻れなくなるのか
- 住宅ローン付きの家を贈与すると、親の側にどんな税金が発生するのか
- 贈与契約書がないと、税務調査で「名義預金」とされてしまう理由
相続時精算課税は「選んだら一生」その親からの贈与に適用される
贈与税の課税方式には暦年課税と相続時精算課税があり、2024年1月の税制改正で相続時精算課税にも年110万円の基礎控除が新設されました。この基礎控除内であれば申告不要かつ相続財産にも加算されないため、以前より使い勝手が良くなった制度です。
ただし見落とされがちなのが、一度「相続時精算課税選択届出書」を提出すると、その贈与者(親)からの贈与については、以後ずっと暦年課税に戻せないという点です。制度そのものの仕組みや控除額の計算は別の機会に詳しくお話ししていますが、ここで押さえていただきたいのは「一度選ぶと、その組み合わせ(贈与する親と受け取る子)については一方通行になる」という事実そのものです。暦年課税の生前贈与加算期間は3年から7年へ段階的に延長されている最中で、どちらが有利かは財産構成や今後の贈与予定によって変わります。名義を動かす前に、この選択が一方通行であることを踏まえて税理士に相談することをおすすめします。
届出書を提出した時点で、その贈与者・受贈者の組み合わせについては暦年課税に戻れなくなります。将来ほかの親族から追加で贈与を受ける予定があるなら、その分は暦年課税のまま残るのか、影響範囲を先に確認しておく必要があります。
ローンの残った家をローンごと子どもに渡す場合、子どもには時価からローン残債を差し引いた額に贈与税がかかる一方、親の側には時価で譲渡したとみなされる「みなし譲渡課税」が生じ、取得時より値上がりしていれば譲渡所得税がかかることがあります。贈与税だけを気にして、この譲渡所得税の存在を見落とすケースは実務でも珍しくありません。
登記名義だけ子どもに変えて、固定資産税は親が払い続け、通帳や実印も親が管理している。こうした状態は、税務調査で「実質はまだ親の財産」と判断され、贈与そのものが否認されるリスクがあります。日付入りの贈与契約書を作成し、以後の固定資産税・管理費は受贈者本人が負担する。形式を整えることが、あとから覆されない贈与にする一番の対策です。
贈与税だけで判断すると、相続税とのトータルで損をすることがある
生前贈与のご相談で多いのが、「贈与税がいくらか」だけを比較して、その場で名義を動かしてしまうケースです。しかし本来比較すべきは、贈与税と将来の相続税を合わせたトータルの負担です。相続時精算課税を選んで110万円の基礎控除内で少しずつ贈与を続ければ、相続財産そのものを減らせる場面もありますが、逆に暦年課税のまま毎年贈与を重ねたほうが有利な財産構成もあります。どちらが有利かは、財産の総額、贈与を受ける人数、今後何年にわたって贈与を続けられるかによって変わるため、一度の相談で結論が出るものではありません。
また、負担付贈与を選んだ結果、親御さんに想定外の譲渡所得税が発生し、贈与税と合わせた総負担がかえって重くなる例も見てきました。ローンの残った不動産を動かす前には、贈与税・譲渡所得税・登録免許税・不動産取得税の4つを並べて試算することをおすすめします。名義を動かす判断は一度きりであることが多く、あとから「やっぱり相続まで待てばよかった」と思っても、贈与そのものを取り消すには再度贈与税がかかる場合があります。だからこそ、税額の計算に入る前の「やり方を選ぶ段階」で立ち止まっていただきたいのです。
大阪市西区で名義を動かす前に、順番を決めておく
生前贈与は、贈与税の税率表を見る前に、①課税方式の選択は後戻りできるか②負担が付いていないか③書面と実態が伴っているか、の3点を確認していただきたいと思います。制度選択と税額の最終判断は税理士の領域ですが、不動産の現在価値と将来売却したときの見込みを正直にお伝えするのが私たちの役割です。
西区の街ごとの性格も、判断の材料になります。靭本町・立売堀は事務所需要と住宅需要が重なり、贈与後に賃貸に出す選択肢も検討しやすいエリアです。堀江・南堀江は単身から二人暮らしの実需が中心で、将来的な売却を視野に入れるなら流動性の高さが判断材料になります。大阪市内は評価額が高く出やすい土地も多く、判断を誤ると影響も大きくなります。迷ったら、まずは今の状態のままお話をお聞かせください。
相続登記から売却までの流れ、共有名義の場合の進め方を公式サイトで解説しています。
よくあるご質問
Q. 相続時精算課税を選んだ後、やっぱり暦年課税に戻したいときはどうすればいいですか?
一度選択届出書を提出すると、その贈与者(親)からの贈与については以後ずっと相続時精算課税が適用され、暦年課税には戻せません。ほかの親族からの贈与には影響しない場合もありますので、選択の前に税理士へご相談ください。
Q. 住宅ローンが残った家を子どもに贈与すると、親には具体的にどんな税金がかかりますか?
ローン残債ごと引き継がせる負担付贈与にあたり、取得時より値上がりしていれば、親の側に時価で譲渡したとみなす「みなし譲渡課税」が生じ、譲渡所得税がかかることがあります。贈与税だけでなく親側の税金も含めて試算することをおすすめします。
Q. 名義預金と判断されないためには何をすればいいですか?
日付入りの贈与契約書を作成し、贈与後の固定資産税や管理費は受贈者本人の口座から負担することが基本です。通帳や実印を親が管理し続けている状態は、実質的な財産移転がないと判断されるリスクがあります。
靭本町・堀江・南堀江・本町・立売堀を中心に、生前贈与・相続・不動産の名義変更に関するご相談にワンストップで対応しています。