宅地建物取引士/大阪市西区を中心に、賃貸・売買・収益物件・賃貸管理の実務に携わっています。
この記事でわかること
- 見積書を「申込の前」にもらう意味と、頼み方の一言
- 仲介手数料が0.5か月分か1か月分かの分かれ目
- 見積書の行を必須・任意・前払い・年次の4つに分ける手順
- 敷引きや短期解約違約金など、金額に出てこない条件の確認場所
- 大阪市西区(靭本町・新町・南堀江・京町堀・阿波座)で差が出る事情
大阪市西区での実績
「同じ部屋なのに、A社とB社で初期費用が5万円以上違った」。お部屋探しのご相談で、本当によく聞く話です。部屋も家賃も同じなのに総額が変わるのは、見積書に並ぶ行の中身と、その行の説明の仕方が会社ごとに違うからです。この記事では、大阪市西区で賃貸のご相談を受けてきた立場から、見積書のどこを見れば会社の姿勢まで読み取れるのかを、申込前にできる手順としてまとめます。
見積書は「申込の前」にもらう
初期費用でもめる相談のほとんどは、金額そのものより順番の問題です。先に申込書を書き、入居審査に通り、重要事項説明の当日に初めて総額の内訳を見る。この流れだと、気になる行が見つかっても「ここまで来たのだから」と飲み込むことになります。審査に通った後で項目を外してもらう交渉は、心理的にも時間的にも不利です。
ですから、内見のあとに申し込むかどうかを決める前の段階で、「初期費用の内訳が入った見積書を先にいただけますか」と一言お願いしてください。見積書は契約書ではないので、この時点で出せないものではありません。むしろ、ここで渋られたり、総額だけを口頭で伝えられたりしたら、それ自体が判断材料になります。
もう一つ、見積書をもらうときに合わせて聞いておきたいのが、重要事項説明書を事前に見せてもらえるかどうかです。宅地建物取引業法では契約前の書面交付と説明が義務づけられていますが、「契約の直前」でも形式上は要件を満たします。事前に写しをもらえる会社は、お客さまに考える時間を渡す前提で動いています。
西区の物件は、靭本町や京町堀のようにオフィスと住宅が混在するエリアと、新町や南堀江のように分譲マンションの一室が賃貸に出ているエリアが隣り合っています。同じ駅圏でも物件の持ち主の性格が違うため、見積書の作りも変わります。だからこそ、総額ではなく行ごとに見る必要があります。
仲介手数料の分かれ目は「いつ承諾したか」
居住用の賃貸では、仲介会社が受け取れる媒介報酬の上限が国土交通省の告示で定められています。原則は、貸主と借主それぞれから家賃の0.5か月分(税別)まで。ただし、媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合は、その依頼者から家賃1か月分(税別)まで受け取ることができます。貸主と借主の合計では家賃1か月分(税別)が上限という組み立てです。
つまり「1.1か月分」という見積書が直ちにおかしいわけではありません。見るべきは金額ではなく、承諾をいつ、どういう形で求められたかです。部屋を探し始める段階で「当社は借主さまから1か月分をいただく形です」と説明を受けていたのなら筋が通ります。契約直前に「皆さん1か月分です」と言われるのは、順番が逆です。
「これは承諾を前提にした金額ですか」と一度聞いてみてください。慌てる会社と、根拠を説明できる会社がはっきり分かれます。あわせて、手数料の行に消費税が乗っているかも確認を。居住用の家賃そのものは消費税の非課税取引ですが、仲介手数料や鍵交換費用、保証委託料には課税されるものがあります。家賃には税が付かないのに手数料には付く理由を説明できるかどうかも、ひとつの目安になります。
なお、借主からの手数料を0.5か月分に抑えている会社があるのは、貸主側から広告料を受け取る取引慣行があるためです。広告料は依頼に基づく特別の広告費用として扱われるもので、借主の手数料の上限とは別の話です。「なぜ安いのか」も、聞けば答えられるはずです。
見積書の行を4つに分けて読む
見積書は上から順に読むと必ず迷います。おすすめは、ボールペンで行の左に印を付けながら、次の4種類に分類していく読み方です。分類が終わった時点で、質問すべき行が自然に浮かび上がります。
貸主が入居条件にしている行
敷金・保証金、礼金、日割り家賃と翌月分の前払い家賃、保証会社の利用、火災保険の加入。ここは原則として外せません。ただし「加入が条件」であることと「保険会社まで指定されている」ことは別です。指定以外の保険を選べるケースもあるので、遠慮なく確認してください。
仲介会社が独自にすすめている任意の行
室内消毒・抗菌施工、24時間駆けつけサポート、害虫駆除、簡易消火用具など。貸主の条件として設定されている場合もありますが、仲介会社の商品として並んでいる場合もあります。「これは外せますか」と聞いて、即答で「外せます」「これは貸主さんの条件です」と区別できる会社は、ほかの行もごまかしません。
退去時の費用を先払いしている行
定額のハウスクリーニング費用、鍵交換費用など、入居時に払って退去時の精算に関わる項目です。国土交通省の原状回復のガイドラインでは、経年変化や通常の使用による損耗は貸主の負担が原則とされています。借主負担とする特約を有効に置くには、必要性や内容の明確さ、借主が負担を了解していることなどが問われます。金額と、契約書のどの条項に書かれているかを突き合わせてください。
初期費用には出てこない毎年の行
保証会社の年間更新料、火災保険の更新保険料、2年ごとの更新料と更新事務手数料、町会費や駐輪場代など。初期費用の総額には現れないのに、住み続ける間ずっと効いてくる部分です。見積書をもらうときに「初回以外にかかる費用も一覧でいただけますか」と足して頼むと、総額の比較が初めて意味を持ちます。
| 見積書の行 | 分類 | 申込前に聞く一言 |
|---|---|---|
| 室内消毒・抗菌施工 | 任意の可能性 | 貸主の条件ですか、御社の商品ですか |
| 24時間サポート | 任意の可能性 | 外した場合の総額も出せますか |
| 火災保険料 | 条件だが選択肢あり | 保険会社は指定ですか、条件は何ですか |
| 定額クリーニング費 | 退去費用の前払い | 契約書の何条に書いてありますか |
| 保証委託料 | 条件+年次費用 | 翌年以降の更新料はいくらですか |
※項目名や扱いは物件・管理会社によって異なります。実際の契約条件は必ず書面でご確認ください。
金額欄に出てこない条件を先に出す会社か
見積書の総額が同じでも、契約条件が違えば負担はまったく変わります。そして条件は金額欄には書かれません。大阪の賃貸でとくに気をつけたいのが、関西特有の敷引きです。預けた保証金のうち、退去時に返ってこない部分をあらかじめ決めておく仕組みで、西区でも築年数の経った物件や個人オーナーの物件に残っています。
敷引きの特約そのものは、最高裁の判断でも、敷引金の額が家賃の額などに照らして高額に過ぎると評価されるものでない限り、消費者契約法によって直ちに無効になるとはいえないとされています。つまり「違法だから払わなくていい」という話ではなく、入る前に金額を知って判断するしかない項目です。
同じく、1年未満で解約すると家賃1か月分の違約金がかかる短期解約違約金、期間の満了で契約が終わる定期借家契約も、契約書を読んで初めて気づくことがあります。転勤の可能性がある方や、数年で住み替えを考えている方には、家賃の多寡より重い条件になり得ます。
以前、他社で申込直前だったお客さまが「なんとなく不安で」とご相談に来られました。見積書を一緒に見ると、敷引き40万円と短期解約違約金の記載が、重要事項説明の当日まで知らされない流れになっていました。結果として別のお部屋を選ばれましたが、「最初に言ってもらえていたら迷わなかった」とおっしゃっていたのが今も印象に残っています。
不利な条件ほど、内見の段階で先に伝える。これが、お客さまの時間とお金を大切にする会社の共通点だと考えています。西区では、新町や南堀江の分譲賃貸のように個人オーナーが貸主で付帯サービスが少ない代わりに原状回復の取り決めが細かい物件、靭本町や京町堀のようにSOHO利用や法人契約の可否が条件に関わる物件、阿波座周辺の単身向けのように保証会社の指定が決まっている物件など、条件の出方に地域の癖があります。先に全部出してもらえば、比較は難しくありません。
よくあるご質問
Q. 任意の項目を外すと、入居審査で不利になりませんか。
入居審査は、貸主と保証会社が家賃を継続して支払えるかを見るものです。仲介会社が独自にすすめている商品を断ったかどうかは、本来その判断材料ではありません。もし「外すと審査が通りにくい」と言われたら、それが貸主の入居条件なのか、会社の都合なのかを分けて聞いてみてください。
Q. 同じ部屋をA社とB社で見積もってもらうのは失礼でしょうか。
賃貸では複数の会社が同じ物件を扱うことがよくあります。見積書を比べること自体は問題ありません。ただ、申込書を両方に出してしまうと貸主側で混乱が起きます。見積書の段階で比べて、申し込む会社をひとつに決める。この順番であれば、どなたにも迷惑はかかりません。
Q. 初期費用を抑えたいとき、どこから相談すればよいですか。
まず任意の項目、次に礼金や敷引きの条件、最後に入居日の調整という順が現実的です。入居日を月初に寄せると日割り家賃の負担が変わりますし、繁忙期を外せる方なら貸主側の条件が緩むこともあります。希望のご予算と入居時期を先に共有いただけると、ご提案の幅が広がります。
見積書を一緒に読みます
他社でもらった見積書のご相談でも構いません。どの行が貸主の条件で、どの行が外せるのか、大阪市西区の実務に照らしてご説明します。お部屋探しの前の段階からどうぞ。
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電話で相談する 06-6940-7782
株式会社クレアクロス(大阪市西区)/宅地建物取引士 重村裕一
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