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2番抵当がある家の任意売却|大阪市西区の実務【後順位・担保解除料・無剰余取消】

2026.11.01(Sun)

売却・査定BLOG

2番抵当がある家の任意売却|大阪市西区の実務【後順位・担保解除料・無剰余取消】
執筆
この記事を書いた人:重村裕一(宅地建物取引士)
株式会社クレアクロス代表取締役。大阪市西区靭本町を拠点に賃貸・売買・収益・管理をワンストップで扱い、住宅ローンの返済が苦しくなったご家庭の任意売却で、複数の抵当権者との配分調整に数多く携わってきました。
この記事でわかること
  • 2番抵当(後順位抵当権)があっても任意売却が成り立つ理由と、増える手間の正体
  • 配分がゼロに近い後順位の債権者が、それでも抹消に応じることがある仕組み
  • 担保解除料(ハンコ代)が「法律で決まった金額」ではないこと
  • 競売になると後順位に配当が回りにくい根拠(民事執行法63条の無剰余取消)
  • 登記事項証明書の権利部(乙区)で、債権者を取りこぼさずに洗い出す手順
  • 抵当権が消えても後順位のローン残債は消えないという区別
  • 大阪市西区(靭本町・新町・南堀江・京町堀・阿波座)で進めるときの順番
大阪市西区エリアの
賃貸・売買・収益・管理
をワンストップでサポート。抵当権がいくつ付いているか分からない段階からのご相談も承り、登記の確認から配分案づくりまで順番に整理します。

「住宅ローンのほかに、リフォームローンの抵当権も付いているんです。これでも任意売却はできますか」。先日、大阪市内の戸建てにお住まいの方からいただいたご相談です。登記簿を拝見すると、1番に住宅ローンの保証会社、2番にリフォームローン会社の抵当権が設定されていました。結論から言えば、抵当権が2つ以上あっても任意売却が成立する例は少なくありません。ただし、同意をもらう相手が増えるぶん、時間は確実にかかります。この記事では、後順位抵当権がある家の任意売却で実務上どこが難所になり、何から手を付けるのかを、西区での進め方に沿って整理します。

登記事項証明書の乙区で複数の抵当権を確認する様子

抵当権者「全員」の同意がそろって、はじめて引き渡せる

任意売却は、買主に抵当権の付いていない状態で引き渡すことが前提になります。買主が住宅ローンを使う場合、金融機関は自分の抵当権を1番で設定することを条件にしますから、前の抵当権が残ったままでは決済そのものが組めません。

このため、1番だけでなく2番・3番の抵当権者も含め、全員から抹消の承諾をもらう必要があります。抵当権の順位は登記の前後で決まり(民法373条)、順位が後ろの債権者は配当の場面で不利になりますが、抹消に応じるかどうかの一票は順位に関係なく持っています。一人でも「応じない」と言えば、その時点で引き渡せません。1番の保証会社が前向きでも、2番のリフォームローン会社が動かなければ話は止まる、という構造です。

逆に言えば、難所は価格交渉ではなく「調整相手の数」です。買主が決まってから2番の存在に気づくと、承諾を待つあいだに融資の有効期限が切れたり、競売の開札日が近づいたりします。任意売却に使える時間の区切りについては任意売却はいつまで可能かで整理していますが、抵当権が複数ある場合は、そこからさらに前倒しで動く必要があると考えてください。

「1円も入らないのに、なぜ抹消するのか」という後順位の立場

売却代金は、まず売買に必要な費用を差し引き、残りを順位の順に充てていきます。売却代金が1番の残債にも届かない、いわゆるオーバーローンの状態では、2番に回るお金は計算上ほとんど残りません。

後順位の担当者からすれば、「配分はゼロに近いのに、抹消の書類にだけ押印してほしい」という依頼に見えます。社内で決裁を通す理由がないため、返答が止まったり、そもそも検討の順番が後ろに回されたりします。ここが2番抵当がある任意売却のいちばんの難所で、売主様の努力ではどうにもならない部分です。

ですから、仲介する側の仕事は「お願いする」ことではありません。後順位の側にも応じる合理性があるという材料を、数字で用意することです。その材料が、次に説明する担保解除料と、競売になった場合の見通しの二つです。

担保解除料(ハンコ代)は、法律で決まった金額ではない

実務では、1番の抵当権者の了解を得たうえで、売却代金の中から後順位の抵当権者に一定額を支払う形で配分案を組むのが一般的です。これを担保解除料、現場では「ハンコ代」と呼びます。

注意していただきたいのは、これが法律や通達で決まった金額ではないという点です。金融機関や債権回収会社ごとの内部基準、残債の額、物件の価格、順位、そして1番がどこまで譲るかによって変わります。売主様が自由に決められるものでも、こちらが相場として約束できるものでもありません。「後順位には必ず◯万円出ます」という説明を受けたら、その根拠を確認したほうが安全です。

もう一つ、よく誤解が生じる点があります。担保解除料を受け取ってもらって抵当権が消えても、後順位のローンの残債そのものは消えません。抵当権の抹消は担保を外す手続きであって、債務の免除ではないからです。売却後に残った債務をどう扱うかは別の話し合いになり、分割弁済にするのか、債務整理を検討するのかは法律上の判断を含みます。残債の扱いについては任意売却後に残った残債務の扱いも併せてご覧ください。

競売と比べると、後順位にとっては任意売却のほうが合理的になりやすい

後順位の債権者が抹消に応じる判断材料として、競売になった場合の見通しが効きます。競売でも売却代金は先順位から順に配当されますから、2番に配当が回らないことがほとんどです。

さらに、後順位の債権者が自ら競売を申し立てても、手続きの費用と自分より優先する債権の見込額を買受可能価額が上回らないときは、裁判所が手続を取り消すことがあります(民事執行法63条、いわゆる無剰余取消)。つまり後順位の側には「自分で競売をかけて回収する」という選択肢すら実質的にない場合があり、それなら少額でも任意売却で受け取るほうが合理的、という判断になりやすいのです。

確認項目 任意売却で進める場合 競売になった場合
後順位への配分 担保解除料として少額でも受け取れる可能性 先順位で尽きて配当が回らないことが多い
売却価格の水準 市場に売り出して買主を探せる 入札方式で市場価格を下回りやすい
後順位が自ら申立てする場合 申立て不要で手続費用もかからない 無剰余で取り消される場合がある(民執63条)
売主の引越し時期 決済日に合わせて相談できる 落札者の都合に左右される
かかる期間 抵当権者が増えるほど長くなる 開札日が決まり後ろにずらせない

この表は、後順位の債権者に説明する材料でもあり、売主様が「なぜ早く動く必要があるのか」を理解するための材料でもあります。競売の申立てが済んでからでは、この比較を持ち出せる期間そのものが短くなります。

後順位抵当権者への担保解除料を含む配分案を作成する実務のイメージ

大阪市西区で進めるときの順番と、登記の確認で見落としやすい点

1
登記事項証明書の権利部(乙区)で、債権者を全部書き出す

最初に手に入れるのは登記事項証明書です。所有権以外の権利は権利部の乙区に記録されますので、ここを上から順に読み、抵当権・根抵当権・差押えの登記をすべて一覧にします。ご本人が把握していない登記が見つかることは珍しくありません。事業資金の保証に伴うもの、親族からの借入れに伴うもの、完済したつもりで抹消登記だけが残っているものなどです。根抵当権(民法398条の2)の場合は極度額と実際の残債が一致しないため、残高の照会が別に必要になります。

2
全員の残高を取り寄せ、市場価格と並べて差額を出す

次に、各債権者から残高証明や償還予定表を取り寄せます。ここで1番だけでなく2番以降の残高もそろえるのが要点です。そのうえで、市場で売れる価格を査定し、差額を出します。この差額が、配分案で動かせる幅になります。差が小さければ後順位に回す余地が生まれ、差が大きければ1番すら満たせないため、担保解除料の額も限られます。順番を逆にして買主を探しはじめると、同意の見込みのない価格で売り出すことになりかねません。

3
1番の方針を確認してから、後順位へ早めに打診する

担保解除料を配分案に入れるかどうかは、1番の抵当権者の方針が起点になります。先に1番の考え方を確認し、そのうえで後順位へ連絡します。後順位の金融機関や債権回収会社は、担当部署に話が渡るまでに時間がかかることが多く、回答までに数週間を要する例もあります。競売の期限が迫ってから気づくと、承諾が間に合わないおそれがあります。社名と連絡先が登記から分かりにくい場合もあるため、調査も含めて早い段階で着手します。

4
西区の物件種別に合わせて、売り方と期間の見通しを決める

西区は靭本町・京町堀・阿波座に事務所と住宅が混在し、新町・南堀江は単身や二人暮らし向けの区分マンションが中心という違いがあります。区分マンションは比較事例が取りやすく、価格の説明が債権者に通りやすい一方、管理費や修繕積立金の滞納があると配分に影響します。戸建てや併用住宅は事例が少なく、査定の幅が広くなるため、価格の根拠づくりに時間をかけます。どちらも、決済日と引越しの段取りを同時に組んでおくことが大切です。

5
売却後に残る債務の話は、専門家と連携して並行で進める

抵当権が外れても、後順位のローンを含めた残債は残ります。売却と同時に、残った債務をどう返していくかの見通しを立てておくと、引渡し後の生活が落ち着きます。債務整理が選択肢に入る場合の判断は弁護士、登記手続きは司法書士、譲渡所得や特例の適用は税理士の領域です。当社では必要に応じて各先生と連携して進め、売却の工程と並行して整理していきます。

冒頭のご相談では、早い段階で2番のリフォームローン会社にも連絡を取り、担保解除料を含めた配分案で双方の承諾を得て、競売の前に売却を終えることができました。動き出しが早かったことが、そのまま選べる道の広さになった事例です。

よくある質問(FAQ)

Q. 2番抵当の会社が抹消に応じてくれない場合、任意売却はできなくなるのでしょうか。

A. その相手の承諾が得られないままでは、抵当権の付いていない状態で引き渡せないため、その売買では進められません。ただし、配分案を組み直して担保解除料を見直す、1番の方針を再確認する、売出価格の根拠を補強して回収見込みを上げるといった方法で、再度の打診につながる場合があります。断られた理由が「金額」なのか「社内で検討の順番が回っていない」だけなのかで、次の手は変わります。どの段階で止まっているのかを確認するところから始めるのが現実的です。

Q. 担保解除料はいくらくらい用意すればよいですか。売主が自分で払うのでしょうか。

A. 原則として売主様が手元から持ち出すものではなく、売却代金の中から配分する形で組みます。金額は法律で決まっておらず、1番の抵当権者の方針、残債、物件の価格によって変わるため、相場としてお伝えできる数字はありません。配分案の中で「どこから、いくら出すのか」が書面で示されますので、その内容をご確認いただくことになります。手元のお金を先に求められる説明があった場合は、その位置づけを必ず確かめてください。

Q. 抵当権がいくつ付いているか自分でも分かりません。相談してもよいでしょうか。

A. その段階でのご相談がむしろ適切です。登記事項証明書の乙区を一緒に確認すれば、設定されている抵当権や根抵当権、差押えの登記は把握できます。ご本人の記憶にない登記が見つかることもありますが、それを早く知るほど調整に使える時間が増えます。督促状や代位弁済の通知が届いている場合は、その書面もあわせてお持ちいただくと、残っている期間の見通しが立てやすくなります。費用はかかりません。

大阪市西区の宅地建物取引士に任意売却を相談する窓口のイメージ
「抵当権がいくつあるか分からない」という段階で、お話しください
大阪市西区の宅地建物取引士が、登記事項証明書の乙区から債権者を洗い出し、残債と市場価格の差を測って、配分案の組み立て方をご説明します。後順位の金融機関は回答に時間がかかります。競売の手続きが進む前に、使える時間を一緒に数えましょう。相談・査定は無料です。

LINEで気軽に相談する
お電話:06-6940-7782

関連情報

株式会社クレアクロスは大阪市西区で賃貸・売買・収益・管理をワンストップで扱っています。税金の差押えが入っている場合の進め方については税金の差押えがある家の任意売却、管理費の滞納がある区分マンションの場合は管理費滞納があるときの任意売却、配分案で費用がどの順番で認められるかは任意売却で引越し代は出るのかで、それぞれ詳しく整理しています。登記の確認だけのご相談も歓迎です。マイベストプロ大阪の専門家コラムでも実務の記録を公開しています。

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