大阪市西区を中心に、賃貸・売買・収益・管理を一貫して扱っています。相続した不動産の名義変更から売却までを、登記簿と現地の確認からご一緒します。
この記事でわかること
- 遺言書があるのに実家の名義変更が止まってしまう、よくある原因
- 不動産を遺言書に書くときの特定のしかた(住所ではなく登記簿)
- 自筆証書遺言の形式・検認・法務局の保管制度の違い
- 売る前提のときに遺言執行者を決めておく意味
- 大阪市西区で遺言書を見つけたあと、何から手をつけるか
大阪市西区での実績
「遺言書はもう書いてあるから、うちは大丈夫」。相続のご相談で、よく伺う言葉です。ところが、いざ実家を売ろう、名義を変えようという段階になって、その遺言書では手続きが進まないことがあります。先日も、お父さまが手書きで「自宅は長男に相続させる」と書き残されたご家族からご相談を受けました。登記簿を取り寄せると、自宅の土地は2筆に分かれ、さらに前面の私道の持分もお持ちでした。「自宅」という書き方で私道の持分まで含まれると読めるのか。ここで手続きが止まってしまったのです。
遺言書があっても名義変更が止まる理由
遺言書は「書いてあるかどうか」ではなく「その遺言書で手続きが進むかどうか」で価値が決まります。相続登記を申請する法務局も、売買の決済に立ち会う司法書士も、遺言書の文面と登記簿を一字ずつ突き合わせます。文面から対象の不動産を一つに絞り込めなければ、その部分については遺言がなかったものとして扱われ、結局、相続人全員での遺産分割協議が必要になります。
西区のように古い住宅地と細い道が入り混じるエリアでは、この「絞り込めない」が起こりやすいと感じています。靭本町や京町堀では、戦後の区画整理の名残で一つの敷地が2筆3筆に分かれていることがあります。南堀江や阿波座の長屋だった区画では、前面の通路が近隣数軒の共有私道になっていて、持分だけが別の地番で登記されていることも珍しくありません。ご本人は「自宅」と一括りに考えていても、登記簿の上では複数の不動産なのです。
さらにやりがちなのが、新町のマンションで駐車場を別に借りているつもりが、実は敷地の一部を持分で所有していたという例です。遺言書に書き漏れた私道持分や駐車場用地は、そこだけ名義が変わらず残ります。将来、建物を売ろうとしたときに前面私道の持分が売主名義でないと、買主側の金融機関が難色を示すこともあります。
不動産は「住所」ではなく登記簿どおりに書く
ふだん使っている住所(住居表示)と、登記簿上の「所在・地番」は一致しないことがよくあります。建物は「家屋番号」で特定され、マンションであれば一棟の建物の表示と専有部分の家屋番号、さらに敷地権の割合まで記載されます。遺言書で不動産を指定するときは、登記事項証明書を取り寄せ、所在・地番・家屋番号をそのまま書き写すのが確実です。固定資産税の課税明細書もあわせて確認しておくと、漏れを防ぎやすくなります。ただし課税明細には非課税の私道が載らないことがあるため、登記簿と両方で確認してください。
法務局の窓口かオンライン請求で、土地・建物それぞれの全部事項証明書を取ります。地番がわからなければブルーマップや法務局の公図で前面道路まで追います。
毎年4月ごろ届く固定資産税の課税明細書と並べ、登記簿にあって明細にないもの、明細にあって遺言書に書かれていないものを洗い出します。
「自宅」「実家」といった通称ではなく、所在・地番・家屋番号で一つに絞れるかを確認します。絞れない不動産が一つでもあれば、その部分の扱いを専門家に相談します。
ご本人がお元気なうちであれば、財産目録を付けて書き直すほうが早いことが多いです。目録は登記簿のコピーでも足りますが、各ページに署名と押印が必要です。
自筆の遺言は形式と保管で差がつく
自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書き、押印する必要があります(民法968条)。2019年の改正で財産目録はパソコン作成や登記簿のコピーでもよくなりましたが、目録の各ページに署名・押印が必要です。日付が「令和〇年〇月吉日」のように特定できない書き方では、無効になるおそれがあります。
保管方法でも手続きの手間が変わります。自宅で保管していた自筆の遺言は、家庭裁判所での「検認」を経なければ相続登記などに使えません。検認の申立てから期日までは、相続人への呼び出しが必要なため1か月前後かかることがあります。2020年7月から始まった法務局の自筆証書遺言書保管制度を使えば検認は不要で、紛失や書き換えの心配も減ります(保管の申請手数料は3,900円)。公証役場で作る公正証書遺言も検認は不要です。
| 保管のしかた | 検認 | 主な費用 | 注意したい点 |
|---|---|---|---|
| 自筆・自宅で保管 | 必要 | 作成は無料 | 紛失・形式不備・検認の期間 |
| 自筆・法務局で保管 | 不要 | 申請手数料3,900円 | 形式の確認はあるが内容の審査はない |
| 公正証書遺言 | 不要 | 財産額に応じた公証人手数料 | 証人2名が必要/原本は公証役場に残る |
売る前提なら遺言執行者を決めておく
特定の相続人に「相続させる」と書かれた不動産は、その方が単独で相続登記を申請できます。ただし、法定相続分を超える部分は、登記をしなければ第三者に対抗できません(民法899条の2)。遺言があるからと名義変更を後回しにせず、早めに登記することが大切です。2024年4月からは相続登記も義務化され、取得を知った日から3年以内の申請が求められています。
さらに、「実家を売って、その代金を子ども3人で等分する」という内容にしたい場合は、遺言執行者を指定しておくと進めやすくなります(民法1006条)。遺言執行者が売却の手続きを進められるため、相続人どうしで足並みがそろわず売れない、という事態を避けやすくなります。実務では、売買契約の売主欄に誰が署名するのか、決済日に誰が印鑑証明書を用意するのかが問題になります。執行者が決まっていれば、この段取りが一本化できます。
なお、遺言の内容によっては、他の相続人の遺留分(最低限の取り分)が問題になることがあります。偏った分け方をする場合は、あらかじめ専門家にご相談ください。文案の確認は弁護士や司法書士、税金は税理士の領域です。
大阪市西区で遺言書を見つけたあとの進め方
ご家族が亡くなられて遺言書が出てきたときは、封を切らずに保管し、まず家庭裁判所の検認が必要かどうかを確かめてください。法務局に保管されている場合は、相続人であれば遺言書情報証明書の交付を請求できます。そのうえで登記簿を取り、遺言書の記載で全部の不動産を特定できるかを確認します。
私たち不動産会社にできるのは、登記簿や現地を確認して「この遺言で漏れている土地はないか」「将来売るとしたら、いくらくらいで売れそうか」をお伝えすることです。西区は同じ町名の中でも、幹線沿いと一本裏の路地で評価がはっきり分かれます。書き直す前の確認だけでも結構ですので、お気軽にお声かけください。
よくあるご質問
Q. 「自宅一切」と書いてあれば私道の持分も含まれますか?
含まれると読める場合もありますが、登記官や関係者の判断が分かれる余地が残ります。実務では、地番を特定して書き直すか、どうしても難しければその不動産について遺産分割協議を行うかの選択になります。判断に迷う文面であれば、司法書士に文言の評価を仰ぐのが早道です。
Q. 検認を受けると遺言の内容が有効だと認められるのですか?
検認は、遺言書の存在と形状・日付・署名などの状態を確認して記録する手続きです。内容が有効かどうかを判断するものではありません。検認済みであっても、形式不備や特定不足を理由に手続きが止まる可能性は残ります。
Q. 古い遺言書と新しい遺言書が両方出てきたらどうなりますか?
内容が抵触する部分については、日付の新しいものが優先されます。抵触しない部分は古いものも効力を持ちます。だからこそ日付の特定が重要になります。複数出てきた場合は、自己判断で破棄せず、すべてをそろえて専門家にお見せください。
その遺言書で手続きが進むか、一緒に確かめませんか
登記簿と課税明細をお持ちいただければ、書き漏れている不動産がないか、将来売るとしたらいくらくらいかをお伝えします。大阪市西区の相続のご相談は、初回無料で承っています。